横浜LA内科・内視鏡クリニック

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コラム

いびきの正体、知っていますか?―― 眠りと呼吸の深い関係

総合診療

公開日

2025.7.14

更新日

2026.5.27

ベッドで眠る父親と男の子のイメージ。

こんにちは!横浜LA内科・内視鏡クリニック 院長の本多です。


最近では、テレビや雑誌でも「睡眠の質」や「眠りのトラブル」が取り上げられる機会が増えてきたように感じます。それだけ睡眠に悩んでいる方が多いのかもしれません。


例えば朝、ご家族でこんな会話はありませんか?


👦🏻「パパ!いびきがうるさかったよ!!なんでパパはいびきをかくの?」

🧑🏻「え?パパ、いびきかいてた?最近疲れてるからかなぁ…。歳をとるといびきをかくもんなんだよ」


――こんな親子のやりとりが、実は健康のための大切なきっかけになることがあります。

さらに以下のようなひと言がある場合、あなたのいびきは、単なる疲れや加齢ではなく病気の可能性も

💬「いびきはうるさいんだけど、急に静かになることもあるんだよね」

💬「でね、すぐにまた大きないびきが始まるの。気になって眠れないよ〜」



「いびきだけで病気なんて…」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、いびきは”ただの音”ではないんです。


そこで今回はそんな「いびき」に焦点を当てて、


  • いびきが出る原因とメカニズム

  • 寝てる間に呼吸が止まる病気「睡眠時無呼吸症候群」

  • セルフチェックと自宅でできる検査


などについて、わかりやすく解説していきます。

ぜひご自身やご家族の健康のヒントとして、お読みいただけたらうれしいです。



🔸いびきは身体からのアラート?原因とメカニズム

いびきの音が出る仕組み

そもそも呼吸は、空気が勝手に入ってきてくれるわけではなく、肺ががんばって空気を“吸い込む”ことで成り立っています。


もし、そのとき空気の通り道(気道)が狭くなっていると、空気が通りづらくなります。

いびきは、その狭くなった気道を空気がムリに通ろうとするときに出る音です。


イメージとしては、高速道路を走る車の窓を少しだけ開けたときの「ゴーッ」という音。あれに似ています。

「ここ、通りにくいんですけど〜!」という、身体からのアラート音のようなものです。


特に、のどの奥(図中の赤丸部分)が狭くなると、いびきが起こりやすくなります。

健康な人の気道の状態を示した図。空気の通り道(気道)が広く開いており、鼻や口からスムーズに空気が流れている様子。

いびきが起こる2つの主な原因

狭くなる原因は主に2つです。


①肥満

 首まわりの脂肪で気道が狭くなる

②舌根沈下(ぜっこんちんか)

 舌やのどの筋肉がゆるみ、気道にフタをしたようになる(下図参照)

舌根沈下の図。仰向けで寝ている時に、重力で舌の根元がのどの奥に落ち込み、気道をふさいでしまっている様子。

特に以下のような場合に、いびきが起こりやすいと言われています。


  • お酒を飲んだ夜

  • 疲れているとき

  • 加齢

  • 口呼吸の傾向がある方

  • あごが小さい・舌が大きい方

いびきのメカニズム。鼻づまり、口呼吸、肥満、飲酒などが原因で筋肉が緩み、気道が狭くなって「いびき」が発生するまでの流れを示したフローチャート。

結果、空気の通り道が完全にふさがれて、息をしていない=「無呼吸」の状態になるリスクが生じます。

🔸脳が大忙し!寝てる間に呼吸が止まる?!「睡眠時無呼吸症候群」とは


私たちが眠っている間も、脳は“自動運転”で呼吸を管理しています。

しかし気道がふさがれ、きちんと空気が取り込めなくなってしまうと…


脳や身体が酸素不足となり、命に関わる”緊急事態”に

脳:「大変だ!」と反応

肺への命令:「もっと強く空気を吸い込んで!」

筋肉への命令:「身体の向きを変えて呼吸しやすくして!」


このように、脳は何度も目を覚まして命令を出さなくてはいけないため、大忙し。本来は休んでいるはずの時間に全然休めない…そんな状態になってしまうのです。


🌀寝ていても、眠りが浅い気がする

🌀朝起きても、なんだかスッキリしない


それは、こんな“小さな緊急事態”が一晩中起きているせいかもしれません。

睡眠中に呼吸が止まることで酸素不足になり、休む間もなく命令を出し続けてヘトヘトになっている脳のイラスト。

これは「睡眠時無呼吸症候群」と呼ばれ、中高年の男性や閉経後の女性に起こりやすい傾向があるといわれている病気のひとつです。

ただの睡眠不足じゃない ― 睡眠時無呼吸症候群のタイプと合併症

睡眠時無呼吸症候群とは

  • 寝ている間に呼吸が何度も止まったり浅くなったりする病気

です。その結果、睡眠の質の低下を招いてしまいます。


主に次のような症状がみられます:

  • 日中の強い眠気や集中力の低下

  • 朝起きても疲れが残っている

  • だるさや頭痛

  • 起床時の口やのどの渇き

  • 扁桃炎(へんとうえん)や咽頭炎(いんとうえん)をくり返す


一見すると「睡眠不足」とも似ていますが、以下のような特徴があります。

単なる「睡眠不足(時間が足りない)」と「睡眠時無呼吸症候群(酸素不足で疲れが取れない)」の主な原因と特徴を比較した図。

睡眠時無呼吸症候群には2つのタイプがあります。


  • 閉塞性タイプ:気道がふさがれて呼吸が止まる(日本人の9割はこちら)

  • 中枢性タイプ:脳から「呼吸して」という命令が出なくなる


そして睡眠時無呼吸症候群で特に注意したいのが、以下のような合併症です。


  • 高血圧

  • 2型糖尿病

  • 心疾患(狭心症、心不全、不整脈など)

  • 脳梗塞や脳出血

  • うつ症状や認知機能の低下 など


睡眠時無呼吸症候群を放置してしまうと、こうした病気を悪化させるリスクが高まります。
また、これらの持病がある方は、睡眠時無呼吸症候群を発症しやすくなる傾向もあります。


睡眠時無呼吸症候群の早期発見・治療は、合併症の予防や治療にもつながります。

お互いに影響し合っているため「両方をきちんと治療する」ことが大切です。

🔸自覚しにくい「眠りの質」を検査でチェック


ここまで、いびきや睡眠時無呼吸症候群についてお話ししてきましたが、実際に「自分が当てはまるかどうか」を判断するのは、けっこう難しいものです。


例えば、冒頭のパパのように「自分では気づいていないけど、家族にいびきを指摘された」というケースは多くありますが、まずは簡単なセルフチェックチャートで確認してみましょう。

SASセルフチェックチャート。いびきの自覚や日中の眠気など、4つの質問に答えることで睡眠時無呼吸症候群のリスクを確認できるチャート。

※上記はあくまで参考であり、診断の代わりとなるものではありません。気になる症状がある場合は、医療機関を受診してください。

眠りが気になったら…2つの検査で「見える化」できます

睡眠時無呼吸症候群が疑われる方には、次の2つの検査をおすすめします。


  • 簡易検査(スクリーニング検査)

  • PSG検査(終夜睡眠ポリグラフィ検査)

簡易検査とPSG検査の検査内容や検査機器の装着例などを比較した表。

  • どちらもご自宅で検査OK

  • これらの検査で睡眠時無呼吸症候群と診断された場合、保険治療が可能



当院ではどちらの検査にも対応しており、検査〜治療まで、一貫してサポートしています。
検査の流れ・費用など詳しくは、下記のページもご覧ください。

▶睡眠時無呼吸検査のご案内

🔸専用マスクで眠りをサポート!CPAP(シーパップ)療法


睡眠時無呼吸症候群の主な治療法は「CPAP(シーパップ)療法」になります。

寝ている間に空気を送り込み、気道がふさがらないようにする治療です。

CPAP(シーパップ)治療の仕組み。鼻にマスクを装着し、空気の圧力でのどの奥を内側から広げて気道を確保している断面図。

”空気の方から”入ってきてくれる治療で、イメージとしては、潰れそうなストローの中に空気を送り込んで、内側からしっかり広げておく感じ。


鼻に専用のマスクをつけると、一定の圧をかけた空気がスーッと通って、のどがふさがらないようにサポートしてくれます。

🔸今夜からできる!いびき対策3つのポイント


睡眠時無呼吸症候群は医療機関での治療が必要ですが、日常生活でも、いびきを抑えて睡眠の質を改善できる工夫があります。

オススメを3つご紹介します。

1. 横向きで寝る

仰向けで寝ると、重力で舌やのどの筋肉が落ち込みやすくなりますが、横向きで寝ることでそれを避けることができます。気道が狭くならずにすむため、いびきを抑えてきちんとした呼吸をしやすくなります。

抱き枕を使うのも、横向きの姿勢を保ちやすくなるため、オススメです。

いびき対策として、抱き枕を使いながら横向きの姿勢でリラックスして眠っている人のイラスト。

2. 寝る前のお酒は控えめに

アルコールは筋肉をゆるめる作用があるため、のどの筋肉もゆるんで気道をふさぎやすくなります。

特に日本人は「寝酒」の習慣のある方が多いことが知られていますが、寝酒は眠りを浅くし、睡眠の質・量ともに悪化させます。できる限り控えるようにしましょう。

3. 寝室の環境を整える

寝苦しい夏のような高温多湿の環境で、快適に眠れる温度と湿度を調べた研究では

  • 室温:20〜25℃

  • 湿度:40〜60%

くらいが適切という報告があります。

意外に室温・湿度は体感とのズレがあり、寝苦しい環境になっていることも。

一度、寝室に温湿度計を置いて、実際の数値を確認してみるのもよいでしょう。

快適な眠りのための環境目安。温度計が20〜25℃、湿度計が40〜60%を指しているアイコン。

🔸深い呼吸で、健やかな睡眠を


「いびきで受診なんて…」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、初めはみなさん同じように迷いながら来院されます。
でも、検査後は「自分の状態がはっきりわかって安心した」という声をいただくことも。


睡眠は、毎日の最も大切な「休むための行動」です。

ご自身の睡眠を見直すことは、これからの健康を守る第一歩。

あなたの毎日が、少しでも軽く、元気に変わるきっかけに!

私たち横浜LA内科・内視鏡クリニックは、そんな一歩をしっかりサポートいたします。


それではまた、次のコラムで!


引用文献

[1] 日本呼吸器学会他 監修: 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020.  [https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf(2025年7月3日閲覧)]

[2] 日本循環器学会: 2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン [https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/03/JCS2023_kasai.pdf(2025年7月3日閲覧)]

[3] 日本呼吸器学会: I-05 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS) [https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/i/i-05.html(2025年7月3日閲覧)]

[4] 厚生労働省 健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会: 健康づくりのための睡眠ガイド 2023(令和6年9月18日一部修正). [https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf(2025年7月13日閲覧)]

[5] 厚生労働省: 良い目覚めは良い眠りから 知っているようで知らない睡眠のこと 解説書(2024年11月最終更新). [https://kennet.mhlw.go.jp/tools/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/guide-sleep.pdf

(2025年7月13日閲覧)]

[6] Okamoto-Mizuno K, Mizuno K. J Physiol Anthropol. 2012; 31(1): 14.

[7] Tsuzuki K, Mori I. Jpn Archit Rev. 2025; 8: e70031.

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