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総合診療
公開日
2025.12.15
更新日
2026.5.27

こんにちは!横浜LA内科・内視鏡クリニック 院長の本多です。
「過敏性腸症候群(IBS)」をテーマに、2本シリーズでお届けします。
前編ではIBSの症状やストレスとの関係、検査についてお伝えしました。
▼前編はこちら
後編となる今回は、
IBSの各種治療法
低FODMAP(フォドマップ)食
についてご紹介します。
💭治療ってどんなものがあるの?
💭FODMAPってなに?
そんなあなたの疑問を解消するヒントとなればうれしいです。ぜひ、最後までお読みくださいね!
IBSの治療は、症状や重症度に応じて、①生活習慣の改善、②薬物療法、③心理療法、④食事療法などを組み合わせて行います。
まず基本となるのが、生活習慣の見直しです。
規則正しい生活リズム
毎日同じ時間に起床・就寝し、食事も規則正しくとることで、腸のリズムが整いやすくなります。
十分な睡眠
睡眠不足はストレスの原因となり、症状を悪化させることがあります。質の良い睡眠を心がけましょう。
適度な運動
ウォーキングなどの軽い運動は、腸の動きを整え、ストレス解消にも効果的です。無理のない範囲で継続することがポイント。

生活習慣を改善しても症状がよくならない場合は、薬による治療を行います。薬物療法でよく使われる薬としては次のようなものがあります。
消化管運動機能調節薬
腸の運動を整える薬
プロバイオティクス
身体によい善玉菌(ビフィズス菌や乳酸菌など)を薬にしたもの
高分子重合体
水分を吸収し便の水分バランスを調整する薬
その他、IBSのタイプに応じてさまざまな薬が使われます。
漢方薬
抗アレルギー薬(食物アレルギーがある方向け)
ペパーミントオイルカプセル
なども症状を和らげるために役立ちます。
これらの薬を用いても効かない場合・ストレスや不安の強い場合には、抗うつ薬・抗不安薬が使われることがあります。
治療の効果や副作用には個人差があるため、医師と相談しながらご自身に合った薬を見つけていくことが大切です。

薬物療法を行っても効かない場合には、心理療法が行われることがあります。
【心理療法の種類】
ストレスマネジメント
リラクゼーション(弛緩法)
認知行動療法
マインドフルネス療法
催眠療法 など
IBS に対する心理療法を行っている医療機関は限られていますが、ストレスや心の状態が症状に大きく影響していると考えられる場合には、こうした治療が役立つことが期待できます。
食事は、腹痛や便通の変化などに影響することがあります。
「これを食べると症状が出やすい」
とわかっている食品がある場合は、できるだけそれらを控えるようにしましょう。
避けた方がよい代表的な食品・食事は以下の通りです。
【避けたい食品・食事】
香辛料(カレー、胡椒、生姜、シナモンなど)
炭酸飲料
牛乳、乳製品
カフェイン(コーヒー、紅茶など)
アルコール
脂肪分の多い食事
一方で、便秘型のIBS患者さんには食物繊維を多く含む食品がおすすめです。

近年注目されている、IBSの食事療法のひとつとして「低FODMAP(フォドマップ)食」があります。
FODMAPとは、以下の頭文字をとった言葉です。

これらは小腸で吸収されにくく、大腸で発酵しやすい糖質のことを指します。
FODMAPを多く含む食品を食べると、腸内で発酵してガスが発生したり、水分が腸に引き込まれたりして、IBSの症状を悪化させるリスクが高まることが知られています。
そのためIBS患者さんの食事では、こうした糖質をなるべく含まない「低FODMAP食」がよいとする報告があります。
主食:パン、パスタ
野菜:タマネギ、ニンニク、アスパラガス、トウモロコシ
果物:リンゴ、桃、マンゴー
乳製品:牛乳、ヨーグルト
タンパク質:ほとんどの豆類、加工肉
ナッツ類:カシューナッツ、ピスタチオ
人工甘味料、はちみつ など
主食:米、オートミール
野菜:ニンジン、キュウリ、かぼちゃ、じゃがいも
果物:キウイフルーツ、みかん、ブルーベリー、パイナップル
乳糖を含まない乳製品:豆乳、アーモンドミルク
タンパク質:卵、豆腐、肉、魚介類
ナッツ類:マカダミアナッツ、ピーナッツ、クルミ
ダークチョコレート、メープルシロップ など

低FODMAP食を自己判断で取り入れてしまうと、栄養バランスが崩れるなどのリスクもあります。
また「高FODMAP食は今後一切食べないようにする」ということではなく、あくまでも「ご自身にとって症状を悪化させやすい食品を見極める」ことを目的として、期間限定的に試すことが前提となります。
気になる場合は医師に相談の上で、医師や管理栄養士の適切な指導のもとで実践するようにしましょう。
今回は、IBSの治療法と低FODMAP食についてお伝えしました。
IBSの治療は、生活習慣の改善から始まり、薬物療法、心理療法、食事療法まで、さまざまな選択肢があります。「これをすれば必ず治る」というものではなく、患者さんの症状やタイプに合わせた治療を組み合わせていくことが大切です。
IBSは適切な治療で症状をコントロールできる病気です。
しかしIBS患者さんの中には、これまでの長引く症状に悩み、我慢し続けたことで、ときにはあきらめを感じている方も少なくありません。
横浜LA内科・内視鏡クリニックでは、専門医が患者さん一人ひとりと向き合い、症状やお困りごとに合わせた適切な治療をご提案できるよう心がけています。
職場の同僚や家族など周りの人に説明しづらいことも、病気のことをよくわかっている専門医であれば、あなたをサポートできることがあるかもしれません。
つらい症状を一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
一緒に、より快適な生活を取り戻していきましょう。
それではまた、次のコラムで!
参考文献
[1] 日本消化器病学会 編: 機能性消化管疾患診療ガイドライン2020-過敏性腸症候群(IBS)(改訂第2版). 南江堂. 2020.
[https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/guideline/pdf/IBSGL2020_.pdf(2025年12月14日閲覧)]
[2] 日本消化器病学会 編: 患者さんとご家族のための過敏性腸症候群(IBS)ガイド2023.
[https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/ibs_2023.pdf(2025年12月14日閲覧)]
[3] Bertin L, et al. Nutrients. 2024; 16(3): 370.
[4] Black CJ, et al. Gut. 2022; 71(6): 1117-1126.