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総合診療
公開日
2025.8.20
更新日
2026.5.27

こんにちは!横浜LA内科・内視鏡クリニック 院長の本多です。
「最近、夏が長くなったな…」
そう感じている方は、私だけではないはず。
今年は梅雨も短く、5月に入ると全国各地で真夏日(最高気温30℃以上)が観測されました。8月末になっても暑さは一向に和らぐ様子がなく、気象庁の3ヵ月予報によると、10月まで平年より高い気温が続く見込みとなっています。
地域によっては半年近くも(!)続く長期間の暑さは、「夏バテ」を招く要因に。
特に”内臓の疲れ”を引き起こしやすく、胃もたれ・食欲低下などは胃腸へのダメージとなっているサインです。
そこで今回のコラムでは、
夏バテしやすい生活習慣・3タイプ
タイプ別「胃腸をいたわる」夏バテ対策
をご紹介します。
💭これってただの夏バテ?それとも他の病気の可能性?
といった注意すべき症状などについても、消化器病専門医の視点からお伝えいたします。
ぜひ最後までお読みいただき、厳しい残暑を乗り切るヒントとなれば幸いです。
夏バテで起こる症状には、主に以下のようなものがあります。

胃の症状
食欲がない
少し食べただけでお腹がいっぱいになる
胃もたれ
軽い吐き気

腸の症状
お腹がゆるい(便が軟らかい)
便秘がち
軟便と便秘を繰り返す
腹痛
お腹が張ったような感じ

全身の症状
疲労感・だるさ
集中力の低下
睡眠不足
眠りが浅いと感じる
感じ方や程度には個人差がありますが、一般的にこれらの症状が組み合わさって現れると「夏バテ」している状態といえるでしょう。
「熱中症」は、まだ暑さに慣れていない初夏から発生がみられ、7月から8月にかけてピークを迎えることが特徴です。
一方で「夏バテ」は、8月以降に症状を訴えられる方が多いというのが私の実感です。
この理由は、長期間にわたる暑さダメージが身体にじわじわと蓄積するためと考えられます。初夏の頃は何とか対応できていた暑さも、8月末にもなるとそのダメージが、特に胃腸などに現れやすくなります。
急激な体調変化というよりも、慢性的に胃腸の働きが低下してしまうーーそれが残暑にみられる夏バテの特徴です。

夏バテの主な原因は「自律神経の乱れ」です。
自律神経には、活動時に働く「交感神経」と、休息時に働く「副交感神経」の2つがあります。
夏特有のさまざまな要因により、交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかなかったり、バランスが崩れたりすることで、体調不良(=夏バテ)を招きやすくなります。

では、自律神経の乱れを引き起こしやすい生活習慣を3つのタイプに分けて解説します。
この夏を振り返ってみて、ほぼ毎日・長期間にわたって続けてしまっている生活習慣がないか、探してみましょう。
当てはまりやすい方:
日中は屋外にいることが多い
汗をかきやすい
水・麦茶は1日1L以下(お酒・コーヒーを除く)

私たちの身体は、体重の約60%が水分です。安静にしていても、尿・便・呼吸・汗などにより1日約2.5Lの水分が自然と身体から排出されます。
夏は特にたくさん汗をかくことで、水分だけでなく電解質(ナトリウム・カリウムなど)も失われやすい状態にあります。
水分や電解質が減ると、
血液がドロドロになる
体温や血圧をコントロールする自律神経がバランスを崩しやすくなる
といった要因から、結果的に胃腸の動きを鈍らせ、胃もたれや便秘などの症状につながります。
ちなみに約5%の水分を失うと、明らかな脱水といえます。
体重60kgの方なら、約3Lの水分不足で脱水に。食事から補えるとしても、約2.5Lは自然と出ていってしまうことを考えると、実は意外と脱水しやすいことがおわかりいただけるでしょうか?
そのため、水・麦茶などの水分補給は1日1L以上が望ましいとされています。

当てはまりやすい方:
朝ごはんを食べないことがある
ごはんや麺類など、炭水化物が好き
冷たい食べ物や飲み物を選びがち

気温が高くなると、食欲を抑えるホルモンの働きにより、一時的に食欲が低下するという報告があります。
暑さで食欲が落ち、食事を抜いたり、「そうめんだけ」など食べやすいものに偏ったり、冷たい飲み物ばかり飲んだりすることで、
胃腸のリズムが乱れる(=自律神経が乱れる)
栄養不足による体調不良
などのリスクにつながることも。
また、冷たい飲み物は熱中症予防には効果的な場合もありますが、飲み過ぎると胃の動きを鈍らせ、消化を妨げてしまうこともあります。
当てはまりやすい方:
エアコンの効いた屋内にいることが多い
デスクワーク中心で、あまり身体を動かさない
お風呂よりシャワー派

エアコンによる冷え、屋外と屋内の気温差、寝苦しさによる睡眠不足…
こうした状況も身体にとってストレスとなるため、自律神経の乱れを引き起こす要因といえます。
電車や職場の空調など、個人ではなかなかコントロールしづらい環境もある中で、いつのまにか身体に負担をかけてしまっているケースも多いのではないかと思います。
また「忙しいから」「のぼせて暑いから」といった理由で、入浴はサッとシャワーで済ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こうした生活習慣が、疲労感・だるさや浅い眠りなどの夏バテ症状につながることがあります。
①〜③のうち、あなたはどのタイプでしょうか?
どれかにハッキリ当てはまる場合もあれば、これらが少しずつ混ざって自律神経の乱れを引き起こしている場合もあるかもしれません。
下記のタイプ別対策を参考に、夏のカラダをいたわってあげましょう!
「のどが渇いたと感じる前に」こまめに水分補給をしましょう
水・麦茶を1日1L以上飲むことを意識してみましょう
お酒・コーヒーはほどほどに
【日常で汗をたくさんかいたとき】
水・麦茶+塩飴・梅干しなど
スポーツドリンク
【脱水症と診断されたとき】
経口補水液(ORS)(※1)
※1 経口補水液(ORS):
脱水時、点滴の代わりに水分や電解質を口から補給する治療法として用いられる飲み物。
食品としてドラッグストアなどでも手に入りますが「特別用途食品」に分類され、健康な方が日常的に飲むことは推奨されていません。医師や管理栄養士などの指導のもとで一時的に摂取するものであることにご留意ください。
特に腎臓や心臓などに基礎疾患をお持ちの方は医師にご相談ください。

Q:スポーツドリンクと経口補水液は何が違うのですか?
使いみちと成分が異なります。
スポーツドリンクは日常の水分補給用で、糖分も多く含まれています。
経口補水液は脱水症の治療・対処用で、電解質がスポーツドリンクよりも3〜4倍多く含まれています。より効率的に水分と電解質を補給できますが、飲み方を誤ると健康に良くないおそれもありますので、普段使いはしないようにしましょう。

1日3食を規則正しい時間に摂ることを心がけましょう
タンパク質・ビタミンB1・ビタミンCを含む食材を意識して食べましょう
(豚肉、カツオ、えだ豆、梅干し、レモンなど)
みそ汁・スープなど温かい汁物を食事と一緒に摂りましょう
ただし、糖尿病や高血圧などにより食事制限がある方は医師にご相談ください。
Q:どうしても食欲が出ない時、果物やゼリーだけでも大丈夫ですか?
1週間に1〜2食程度など、短期間・少量ならOKです。
しかし栄養バランスを考えると、たんぱく質やビタミンをしっかり補給できる工夫が大切です。お困りの場合には医師や管理栄養士にご相談ください。

エアコンの風が直接当たらないよう風向きを調節したり、上着やひざかけを1枚常備したりして身体の冷やしすぎに注意しましょう
寝る1時間前には、テレビやパソコン・スマホをなるべくオフに
ぬるめのお湯(目安は38〜40℃)で、湯船につかるようにしましょう
Q:なぜシャワーだけでなく、湯船につかることが夏バテ対策になるのですか?
湯船にゆっくりつかると、発汗を促したり血流量を増加させたりすることで体温調節機能を整え、自律神経のバランス改善が期待できます。
また、リラックスしやすくなるとともに、適度な体温上昇とその後の自然な体温低下が、質の良い睡眠につながります。

もし、次のような症状が長期間続く場合は、単なる夏バテではない可能性も考えられるため、医療機関の受診をおすすめします。
2〜4週間以上にわたって、下記の症状が続く場合
胃の痛み・胃もたれが改善しない
吐き気・腹痛がしょっちゅうある
下痢と便秘を繰り返す
体重が急に減った
こうした症状は、機能性ディスペプシア(※2)と呼ばれる胃腸の病気などが潜んでいる可能性も考えられます。
適切な検査や治療を行うためにも、違和感が続く場合には医師にご相談ください。
また、夏バテでも症状が重く「生活に支障が出ている」などお困りの際には、治療が必要な場合もあります。一人で何とかしようとせず、クリニックの受診をご検討ください。
特に次のような方は注意が必要です。
高齢の方または小さなお子さん
負荷の高い職場環境の方:夜勤、高温(宅配・建設現場・調理場)、低温(冷凍倉庫)など
部活や趣味で日常的にスポーツをしている方
※2 機能性ディスペプシア(FD):
胃カメラなどの検査で異常が見つからないにも関わらず、慢性的な胃の痛み・胃もたれ・お腹の不快感などの症状が続く病気。FD(Functional Dyspepsia)とも呼ばれます。
暑さが長引くことで、胃腸は疲れやすい状態にあります。
夏バテを放っておいたり我慢したりすると、暑さが過ぎてからの回復に時間がかかることも。
ついやってしまいがちな生活習慣を時々見直して、できることから、ちょっとしたケアを心がけましょう。
胃腸のことでお悩みなら、 横浜LA内科・内視鏡クリニックへお気軽にご相談ください。
専門医による、食道・胃・十二指腸・大腸などの検査や治療に幅広く対応しています。
また、かかりつけ医として生活習慣や持病・体質などをふまえた総合的な診療と丁寧なアドバイスで、あなたの健康に寄り添います。
土曜・日曜(第1・3のみ)も受付しておりますので、気になることなどございましたら、遠慮せずお声がけくださいね。
これから秋にかけて、一緒に体調を整えていきましょう!スタッフ一同、全力でサポートいたします。
それではまた、次回のコラムで!
引用文献
[1] 国土交通省 気象庁: 3ヵ月予報(2025年8月19日発表)の解説. [https://www.data.jma.go.jp/cpd/longfcst/kaisetsu/?region=010000&term=P3M(2025年8月21日閲覧)]
[2] 総務省消防庁: 令和6年(5月から9月)の熱中症による救急搬送状況. [https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/r6/heatstroke_nenpou_r6.pdf(2025年8月14日閲覧)]
[3] 神奈川県企業局水道部経営課: 「健康のため水を飲もう」推進運動に協賛しています!水分補給で元気な毎日! [https://www.pref.kanagawa.jp/docs/r4a/pr/mizunomo.html(2025年8月14日閲覧)]
[4] Kojima C, et al. J Physiol Anthropol. 2015; 34(1): 22.
[5] Charlot K, et al. Nutrients. 2017; 9(6): 592.
[6] Mandic I, et al. Nutr Metab (Lond). 2019; 16-29.
[7] 政府広報オンライン: その飲み方NGです! 正しく知ろう経口補水液 [https://www.gov-online.go.jp/article/202502/radio-2729.html(2025年8月14日閲覧)]
[8] 飯田薫子他 監修: 一生役立つ きちんとわかる栄養学. 西東社. 2019.
[9] 日本消化器病学会 編: 患者さんとご家族のための機能性ディスペプシアガイド 2023. [https://www.jsge.or.jp/committees/guideline/disease/pdf/fd_2023.pdf(2025年8月14日閲覧)]