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胃カメラ
公開日
2026.7.17
更新日
2026.8.2

こんにちは!横浜LA内科・内視鏡クリニック 院長の本多です。
🌀逆流性食道炎で長年悩んでいる...
🌀調べると「バレット食道」という言葉が出てくるけど、これって何?
🌀そういえば昔、健康診断で「バレット食道の傾向あり」と医師に言われたことがある
患者さんから、こんなご質問をいただくことがあります。
健康診断で受けた胃カメラ検査などをきっかけに、初耳という方も多いのではないでしょうか。
バレット食道とは「粘膜が本来とは違うタイプの細胞に変化した食道」のことで、すぐに命に関わるような病気ではありません。
このコラムでは、バレット食道に起こる変化・がんリスク・治療などについて、できるだけわかりやすく解説します。
食道は、口から胃へ食べ物を運ぶチューブのような臓器です。その内側の壁(粘膜)は、白っぽい「扁平上皮(へんぺいじょうひ)細胞」という平べったい細胞でできています。
一方、胃の壁(粘膜)は「円柱上皮(えんちゅうじょうひ)細胞」という背の高い細胞でできています。
このように本来、食道と胃ではそれぞれ違う種類の細胞が活躍しています。
ところが、胃から食道へ「胃酸の逆流」が何度も長期間にわたって起こると、胃酸が刺激となり、食道の粘膜がまるで胃の粘膜のように変化してしまうことがあります。
この変化した食道のことを「バレット食道」と呼びます。
胃酸にさらされやすい食道と胃の境目、つまり胃に近いところにある食道に起こりやすいことが知られています。

粘膜が別の細胞へ変化するのは、刺激から身を守ろうとする身体の自己防衛的な反応です。
バレット食道そのものは、すぐに命に関わるような病気ではありません。
しかし、まったくリスクがないわけではなく、悪化していないかどうかを定期的に経過観察することが大切です。
次の章では、バレット食道とがんリスクについて説明します。
🌀バレット食道は、がんになりやすいんですか?
食道の粘膜が、通常とは違う細胞に変わってしまうなんて、不安ですよね。
バレット食道はがんではありません。ただし「食道腺がんの前がん病変」として扱われることがあります。
欧米の報告では、バレット食道から起こる食道腺がんの発がん率は、年間約0.3〜0.6%とされています。
割合としては少ない印象を受けるかもしれませんが、日本人の食道腺がんの発症率は増加傾向にあり、バレット食道からのがん化リスクは決して油断できないと私は考えています。
バレット食道から食道腺がんへと悪化する途中の段階として、「異形成(いけいせい)」という中間段階があります。
悪性度 | 段階 | 状態 |
|---|---|---|
良性 | バレット食道(異形成なし) | 粘膜は変化しているが、異常はない |
低度(軽度)異形成 | 少し悪化しており、心配なタイプ | |
高度異形成 | かなり悪化しており、がんに近い細胞変化が見られる状態 | |
悪性 | 食道腺がん | がん化した状態 |
バレット食道の段階では経過観察のみでOKですが、もし高度異形成まで進んでいた場合には積極的な治療が検討されます。
こうした異形成が進んでいないかどうかをチェックするには、定期的な内視鏡検査が必要です。
「治療しないから大丈夫」と放ったらかしにせず、医師と一緒に、ぜひご自身の状態をフォローしていきましょう。
バレット食道の主な原因は、胃酸が逆流する「胃食道逆流症(GERD:ガード)」と考えられています。
胃酸が食道へ繰り返し逆流することで、食道の粘膜が慢性的にダメージを受け続けてしまうためです。
特に次のような方はリスクが高いとされています。
長年にわたって胸やけ・逆流症状がある方
肥満(特に内臓脂肪型)の方
タバコ習慣のある方
中高年の男性
食道裂孔ヘルニア(胃の一部が胸側へはみ出している状態)がある方
また、脂っこい食事やお酒の飲み過ぎなども、胃酸の逆流を促す要因になります。
バレット食道の診断は「上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)」によって行われます。
胃カメラで食道と胃の境目を観察し、粘膜の色や見た目の変化を確認します。
最近ではNBI(狭帯域光観察)などの特殊光を用いた内視鏡によって、粘膜の変化をより詳しく観察できるようになりました。
内視鏡で疑わしい部分が見つかった場合は、組織の一部を採取して顕微鏡で調べる「生検(せいけん)」を行います。
この結果によって「本当にバレット食道かどうか」「異形成があるかどうか」が確定します。
異形成のないバレット食道は、すぐに手術や積極的な治療が必要なわけではありません。
ただし定期的な内視鏡検査で、変化を見逃さないことがとても大切です。
内視鏡検査の目安は、次のとおりです。
粘膜の変化が3cm未満+異形成なし
50歳未満の方:3〜5年に1回程度
50歳以上の方:2年に1回程度
粘膜の変化が3cm以上+異形成なし
年1回程度
低度(軽度)異形成あり
半年〜年1回程度(より頻回での観察)
高度異形成あり
積極的治療(内視鏡による切除や外科手術)を検討
医師と相談しながら、適切な間隔で検査を受けるようにしましょう。
▶︎ 胃カメラの受診間隔について詳しく知りたい方はこちら:胃カメラは何年に一度受けるべき?所見別の受診頻度の目安を解説
胃酸の逆流を抑えることは、粘膜へのダメージを減らし、がん化のリスクを下げることにつながる可能性があるとされています。
胃酸を抑える薬として主に使われるのが、プロトンポンプ阻害薬(PPI)という薬です。
逆流性食道炎や胃潰瘍の治療にも広く使われています。
逆流症状がなくなると自己判断で薬をやめてしまう方もいますが、症状がなくても継続が必要かどうかは必ず医師とご相談ください。
胃酸の逆流を防ぐには、次のような生活習慣の見直しも大切です。
食後すぐに横にならない(食後2〜3時間は体を起こしておく)
おなかを締め付ける服装を避ける
脂っこい食事・アルコール・タバコを控える
適正体重を維持する
食後すぐの運動や、重い物を持つ動作は避ける
腹圧を高めたり、胃酸の分泌を増やしたりしてしまう生活習慣を避けることで、胃酸の逆流を起こしにくくすることができます。
これらはバレット食道の改善というよりも「これ以上悪化させないための工夫」としておすすめです。

一度できたバレット食道の粘膜が自然に元へ戻ることは、基本的に難しいとされています。
ただし、胃酸逆流の治療や生活習慣の改善によって、それ以上進行するリスクを下げることは期待できます。「これ以上、粘膜の変化が広がらないようにコントロールしていく」という考え方で向き合っていきましょう。
はい、別の状態です。
逆流性食道炎は、バレット食道の“原因となる状態”と位置づけられます。逆流性食道炎は胃酸が繰り返し逆流して食道粘膜に炎症が起きた状態を指します。
一方、バレット食道はそれが長く続いた結果、粘膜の性質そのものが変わってしまった状態です。
逆流性食道炎の段階でしっかり治療しておくことが、バレット食道の予防にもつながると考えられます。
バレット食道は、胃酸の逆流によって食道粘膜が変化した状態であり、すぐに命に関わる病気ではありません。
ただし食道腺がんの前病変になり得るため、定期的な内視鏡検査が大切です。
バレット食道から起こる食道腺がんの発がん率は年間約0.3〜0.6%とされています(欧米での報告)。
①内視鏡での定期観察、②胃酸を抑えるお薬、③生活習慣の改善で悪化させない対策をしましょう。
当院でも、鎮静剤を使った負担の少ない内視鏡検査を心がけています。
胸やけが続いている方、以前にバレット食道と診断されたが定期的な検査ができていない方など、ぜひお気軽にご相談ください。
▶︎【横浜市・三ツ境駅 徒歩2分】当院の胃カメラ検査の詳細はこちら
それでは、また次回のコラムで!
【参考文献】
日本消化器病学会 編: 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021 改訂第3版. 南江堂. 2021.